【講師に緊急復帰することについての謝罪】
最近、ある先生にお会いしたときのことである。開口一番、その先生は笑顔でこう僕とスタッフに言った。
「三浦さんの講師復帰について、誰も突っ込んでないですが、突っ込んだほうがいいですか?」
僕もスタッフも、苦笑、である。
舌の根の乾かぬうちに、という言葉もあるが、まさにそのスピード感で僕は、講師の復帰を決めた。
講師引退については、もうかなり前から決めていたことで、本来なら完全引退が2022年の4月に実現するはずだった。
それが、コロナなどの対応で遅れに遅れて、ようやく2023年の8月スタートの講座で最後ということになった。
正直、僕も講師を引退して何をやろうかと、非常にワクワクした想いでいた。
何せ、ひどい時には1日7講座をこなしていた。年間700回登壇という嘘のような本当の数値もある。
引退と言っても、読書会やラボには登壇します、と言っていたので、実質的には完全引退とは程遠い状況ではあった。
けれども、月に50回以上あった講座が10回くらいに減るインパクトはあった。
ま、ざっと計算して80%オフである。
にしても、そもそも、本職の講師専業の人くらいは登壇することになっていた。
講師を引退して何をやりたかったかと言えば、まず、経営をしたかった。
コロナで大打撃を受けて、その後始末が非常に大変で、もう二度とそうならないように、ちゃんと本気で経営をしようと思った。
また、裏方に回ってプロデュースなどをしようと考えた。
出版社の企画が通りながら止まっていた、小説『殺し屋のマーケティング』シリーズや諸々の本や原稿も本気で作ろうと思っていた。
「海の出版社」レーベルの本も作ろうと思っていた。また、雑誌「READING LIFE」も創りたい思っていた。
プライベートにも、時間が膨大に必要になっていた。
その諸々のすべてを解決するには、講師を引退し、プレイヤーとしての顔の面積を大きく減ずる必要があった。自明のことだった。
ーーとまるで確定した歴史の事実を伝えるように過去形で言っているのは、当然、「もうそうではない」ということをここから伝えるためだ。
何が「もうそうではない」のか?
裏方に回るのがやっぱり嫌で、また表舞台に立ちたいのが理由なのか?
講義をやるのが楽しくて戻りたくなったのか?
登壇として欲しいとの声が大勢を占めたからか?
また、新しい諸々のことをすべて諦めたのか?
理由は、そのいずれでもない。
講師復帰を決めた背景に、単純明快な理由があった。
そこまで講師登壇の時間を減じなくとも、十分にやりたいことすべてをやれるとわかったからだ。
まず、奇跡的なことに月に2日は休めるようになった。
僕は最長で2,308連勤していた。それは6年3ヶ月26日間のことだ。
月に2日休めるということは、ほとんど10年に1日の休みだったのが、1年に24日の休みになることだから、休みが240倍になったということになる。
月に50回以上の登壇が、10回ではなくて20回ほどになったとしても、60%オフなので、それでもなお膨大な時間が生じることになる。
ということは、堂々と言い訳してしまえば、今回の講師復帰は、実は80%オフが60%オフになりました、という話でしかない。
また、東京の店舗を渋谷に集約して旗艦店化するなど、拠点の集約を進めているので、目が届き、掌握できる範囲が多くなった。
さらには、一番大変な時だったが、残ってもらいたい非常にいいスタッフたちに残ってもらえたので、仕事への対応が楽になった。任せられる部分がとても多くなった。
ザックザックと減らしていった結果、思いがけず、時間的な余力が生じたのだ。
このままなし崩し的に、講師復帰を既成事実かしてしまおうという卑怯な考えも頭をよぎったが、ラボや読書会で登壇するのはいいにしても、言い訳ができない講座への復帰が今回決まったので、こうして、謝罪文を掲載することにした。
言い訳ができない講座とは、ライティング・ゼミの上級クラス「ライターズ倶楽部」への講師復帰である。
これは本当に引退したい講座だった。
復帰する背景を端的に説明すると、
①講師フィーの問題
②講義内容の満足度の問題
この二点だ。
様々検討した結果、その二つを同時に満たすことができるのは、残念ながら僕しかいないという結論に至った。
全力で復活の軌道に乗せようとしている現在の天狼院にとって、あらゆる経費は聖域なく削減の対象になっている。講師フィーも例外ではない。
最も安いのは、いうまでもなく、天狼院での講師フィー“0“の僕である。
また、講義内容の満足度問題だが、「これだけをやっていれば大丈夫です」と理論で展開してきた講座に慣れてきた天狼院のお客様にとって、合理的言い切り型ではない講座は、満足度が下がる。
「あちらの講師の方が、実績は僕より圧倒的ですよ」との説明は、合理的なようでお客様にとって合理的でないことがわかった。
それなので、1月からのライターズクラブは、僕が講義部分の「ライティングX」を担当し、企画へのフィードバックや課題へのフィードバックは、僕よりも遥かに書籍編集者としてライターとして実績のある池口や川代が担当する形にすることにした。
「ライティングX」の講座内容は、すべて完全に新しい内容で、毎月12の様々なトピックに対して、いかにライティング技術を活用して最大成果を上げるかを解説して行くことにした。
考えてもみれば、ライティング・ゼミのお客様は、ライターになる目的よりも遥かに、人生を変える目的で書いている人が多い。ライターになる目的は、池口のチームで見てもらい、人生を変える目的は、僕が講座で展開することにした。
この「ライティングX」の“X”の部分に入るのが、人生を変えるためのライティング応用スキルだ。
以下のように、12の応用スキルを用意した。
1月 相手に”うん”と言わせる「承諾ライティング〔決定版〕」〜プライベートも仕事も就活も営業もこれでOK!〜
2月 ピンチをチャンスに変える「逆転ライティング」〜言葉で逆転する〜
3月 正しく褒めることで有力な仲間を増やす「褒めライティング」〜褒め方には作法がある〜
4月 売上の最大化を目指す「売るライティング」〜コンバージョン率を上げるライティング〜
5月 最大の成果を引き出す「交渉ライティング」〜交渉はクライマックス設定で変わる〜
6月 相手の怒りを鎮圧する「謝罪ライティング」〜許される先に得られるもの〜
7月 初めての相手と無限に会話が続く「会話ライティング」〜会話無尽蔵の法則〜
8月 一度に百人を納得させる「スピーチ・ライティング」〜言葉の洗練によって多くの人を貫く〜
9月【禁断編】相手を完膚なきまでに屈服させる「圧勝ライティング」〜復活できないほどに相手を折り切る〜
10月【禁断編】自分の脳内麻薬の放出を最大化させる「陶酔ライティング」〜合法的に自分を最強にする方法〜
11月【禁断編】相手の思考を停止させる「教祖ライティング」〜◯◯を捏造する合理的方法〜
12月【禁断編】『注文の料理店』で最後に逃げられずに相手を食べてしまう「完食ライティング」
見ての通り、人生の様々な局面で確実に武器になるライティング応用スキルだ。
こうした形で、新しいライターズ倶楽部を提供するのが、お客様にとって最も価値が高くなると信じている。
一方で、日曜日の登壇は一切なくなる。
日曜日という集客プレミアムの枠は、外部からお招きする講師の方々に解放しようと考えているからだ。
その方が、お客様の学びが多様化して有益になると信じている。
その一環として、僕が休みとなる第1日曜日は、2024年から「ファースト・サンデー」として、外部から著者や様々な分野の講師の方をお招きして、賑やかなことにする。
順次、それを広げていく。
「海の出版社」プロデュースの枠や、著者プロデュースのお客様が登壇する枠にもなるだろうし、2024年からさらに力を入れていくことが決まっている、演劇系の講座や、演劇の上演も増えることになるだろう。
長々と言い訳してきましたが、最後に、皆様にお詫び申し上げます。
講師引退すると言いつつ、早々に復帰を決断して、本当に申し訳ございません。
お客様のメリットが損なわれないように、全力を尽くす所存ですので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。