天狼院書店ではこの度、新たな、小説創作系講座をスタートすることといたしました。
しかし今回の講座は、これまでの小説創作系講座とは、根本的に違うものとなります。
どこが違うのか?
目的です。
天狼院書店におけるこれまでの小説創作系講座の目的は、小説新人賞での受賞、そして小説家デビューをすることでした。
実際に多くの方にご参加いただき、直木賞候補にまでなった坂上泉さんを筆頭に、小説家デビューを果たされた方も複数いらっしゃいます。
一方で、受講生の皆さまの声に耳を傾けた時、こんな声をいただくことがありました。
「小説家デビューしようとは思っていないんです」
「自分の経験や体験を、小説という形で残したい」
「ただ楽しく、小説を書きたい」
正直に言って、私たちもこの声には驚きました。
『小説家になるために、小説を書く』
それが当たり前のことだと、思い込んでしまっていたのです。
しかし、少し考えてみれば、こういった声が上がるのも当然と思える環境の変化が、今、起きています。
投稿サイトやブログ、SNSなどを使って、ただただ楽しく小説を書き、発表できるという環境が、今は整っています。
それは、書き上げた小説に対する評価を受けることや、選考を通過し、小説家デビューを果たすこととはまた違う楽しみがあることであり、1つの尊い形だと思うのです。
小説家デビューを目指す方々の背中を押してきた天狼院ですが、こうした思いの方々についてもサポートしたい。
そんな思いで、この度、新しい講座を立ち上げることといたしました。
それが、「自分の思いを小説にする講座」です。
自分自身の経験や体験、思いを小説にして応募しようとすることは、新人賞突破を考えると厳しいところがあると、講師の先生方は仰います。
しかし、今回の講座ではあえてその内容を解禁し、むしろそうしたテーマに焦点を絞って、講座を行っていきます。
そうすることでこそ、作家デビューを目指すための講座ではすくいきれなかった、『小説を書いてみたい』という思いを叶えることになるのではないかと思ったからです。
ただし、せっかく小説を書くならば、小説の作法を押さえて、自分自身で納得できるモノにしようじゃないですか。
そのために今回は、現役小説家・谷津矢車先生に講師となっていただき、小説の基礎・基本について教えていただくのはもちろん、『自分の思いを小説にするための』方法も、ワークショップとして行うことといたしました。
自分の思いを小説にするということはつまり、自分自身を見つめ直す、ということでもあります。
日記やブログ、エッセイなど、文章を通して自分自身について考える方法は、いくつもあります。
その中で今回は、『小説』だからこそ出来る、自分自身の表現を、見つけてほしいと思っています。自分自身と向き合い、小説を書き上げる。
小説の基礎・基本を知ると同時に、コレまでとは違った形で自分自身について見つめ、考える、絶好のチャンスとなることでしょう。
皆さんのお申込み、お待ちしております。
講師プロフィール
谷津矢車(YAGURUMA YATSU)
1986年東京都生まれ。駒澤大学文学部歴史学科卒。2012年『蒲生の記』で第18回歴史群像大賞優秀賞受賞。2013年『洛中洛外画狂伝―狩野永徳』でデビュー。二作目『蔦屋』が評判を呼び、若手歴史時代小説家として注目を集める。2018年『おもちゃ絵芳藤』で第7回歴史時代作家クラブ賞作品賞受賞。2020年『廉太郎ノオト』が第66回青少年読書感想文全国コンクール課題作品(高等学校の部)に選出。